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私のお気に入り

2009/04/29

 

フィッシャーディースカウ(バリトン歌手)とエッシェンバッハ(ピアノ)によるシューベルトの歌曲「美しき水車小屋の娘」全曲と、ディースカウによる「フィガロの結婚」第18番レチタティーボとアリアのレッスン風景が収めてられている贅沢なDVD。私の大のお気に入りの1枚です。

これまでも覚えるほど見ていますが(笑)、今度レコーディングする曲にシューベルトの作品があるので、また毎日少しずつ見返しています。

人間の内面を深く見つめたシューベルト。和声の響きや転調、メロディーの推移で、人間の心の声「喜び」「不安」「とまどい」「希望」「絶望」などを表し、伴奏の様々な音型では「川のせせらぎ(16分音符の6連音)」「運命の厳しさ(淡々と続く短和音の刻み)」等までも表現してしまうシューベルトの宝石のような曲の数々。また、ウィーン人であるシューベルトの気質なのでしょうか?絶望的な苦痛の中にありながら、希望や愛情を持ち続け、純粋で自然体な音楽が進んでいきます。

そんなシューベルト作品に命を吹き込み、まるで「シューベルトそのもの!?」と思うくらいの圧倒的な説得力を持って「水車小屋の美しい娘に恋し敗れる若者」の心を歌い上げるディースカウ。
「オレは悲しいんだ~!」というような押し売り的(?)演奏ではなく、むしろ淡々と誠実に、心の声を表現していく彼のまっすぐな瞳を見ているだけで物語の中に連れて行かれ、感情移入して涙が溢れてしまいます…。

このDVDと共に大切にしている本、『シューベルトを歌う』。ディースカウによるシューベルト作品のレッスンがまとめられていて、彼の作品に対する思いなども綴られています。この本からもわかる、ディースカウの人間的な大きさ、誠実さ、作品に向き合う真摯な姿勢は、「音楽家である前に一人の人間として、その深さや大きさがあってこその素晴らしい演奏である」ということを決定づけています。

作曲家や作品への理解を深めることがいかに重要であるか、作品を掘り下げて勉強することの必要性、そして人間的な成長を重ねることが何より大切であるということ、このDVDを見るたびに痛感しています。

※写真は、『NHK趣味百科 シューベルトを歌う』NHK出版、『シューベルト歌曲集「美しき水車小屋の娘」全曲DVD』EMI CLASICCS

 

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