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執筆者の写真Yoshie Ueno

何のためにフルートを吹くか



高校生の相談者さんは、きっととても一生懸命フルートに向き合っているのですね。音楽のことが好きなのに、無心で取り組めないもどかしさは私もよくわかります。


私にとって音楽は

『芸術は深くて遠い』という言葉を聞いたことありますが、私が音楽を続けている理由はまさにそれです。大好きなのに、近づいたと思ってはすぐ遠のいてしまう、片思いの相手のような存在です。きっと音楽に関して、一生かけても「これだ」と思えることはないのだと思いますが、だからこそ特別な存在であり続けるのだと思っています。


芸術はコンクールでは測れない

プロの演奏家を目指している方なら、(特に今の日本では)コンクールに挑戦するのは自然な流れだと思います。きっと親御さんや先生、お友達もコンクールのことで一生懸命になっていることでしょう。


コンクールの覇者でなくても活躍されている音楽家はたくさんいますが、日本はまだまだコンクール至上主義のような人が多いのも現実です。


そんな中で息苦しく感じてしまう気持ちは、よく理解できます。


コンクールは目的ではなく、いい音楽家になるための通過点だと気持ちを切り替えてみてください。コンクールを通していかに多くを学ぶことができるか・・・演奏面だけではなく、強い精神力や深い人間性など、コンクールに本気で向き合うことで得られるものは多く、それらはきっと一生の宝となるはずです。


人は悩むもの

人は挑戦しているとき、頑張っているときには悩み苦しむものです。

どんな道であれ、すんなりと進めることはないはずです。


私も、高校生の頃は思うように結果が出ないことが多々あり、苦しくてもどかしくて、毎晩のように泣いていました。なので相談者さんの悩みは多くの人に共通するものだと思いますし、むしろ「自分は頑張っているからこそ苦しいんだ!」と胸を張っていてほしいです。


視野を広げる

相談者さんは、今、目の前の課題に集中しすぎてしまっているのかもしれませんね。


息が詰まってきたときは、フルートに関わらずいろいろな楽器の音楽を聴いたり、絵画に触れたり、本を読んだり、映画や舞台を観たりしてみてはいかがでしょうか。


ちなみに、私が高校生の頃は三浦綾子さんの小説をたくさん読みました。人生について考え、一歩を踏み出す勇気が出ます。映画は『耳をすませば』(今でもこの映画が大好きです)や、『ライフ イズ ビューティフル』などをよく観ました。また、元気が出ないときはミュージカルに足を運ぶこともありました。舞台で輝く役者さんたちを観ると、自分も頑張ろうという気持ちになれます。


少し広い視野から自分を見つめなおすと、おのずと答えは見てくるかもしれません。


芸術は深くて遠い道のり。私もまだまだ道半ばですが、お互いに頑張りましょうね。


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