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執筆者の写真Yoshie Ueno

どんな音色を目指すか



音色について、たくさんの方からご質問をいただいています。今回は、私が音色についてどう考えているのかを書いていきたいと思います。


どんな役者でありたいか

risaさんはドラマや映画を観ますか?


役者さんに注目してみると、タイプが大きく二つのパターンに分けらるように思います。

  1. 本人の個性が強く、どの役をやっても、その人のキャラクターが前面に出てくるタイプ。

  2. 役によって演じ分け、それぞれが全く別人のように見えるタイプ。

演奏家もこれと同じで、個性ある音色で聴衆を魅了するタイプの方と、演奏する曲や場面によって別人のように演奏し分ける方との両方がいるように思います。


どちらがいいとは言えませんが、私自身は、2つめのタイプでいたいといつも思っています。


変幻自在な音色

例えば、不遇な人生を送った韓国人作曲家、イサン・ユンの作品を演奏する時は、息をたくさん使って人間の生々しい感情を音にするようなイメージで吹いています。YouTube [イサン・ユン:エチュードより第5番]


また、フランスの繊細な機微が美しいプーランクの作品を演奏する時は、普段よりクリアな音色になるように息のフォーカスを絞りめにしています。YouTube [プーランク:フルートソナタ]


もちろん一曲ずっと同じではなく、音のイメージをガラっと作り替えながら吹いている部分もあります。


フルートの音は、息のスピードフォーカス(焦点)の位置、角度の組み合わせで音色ができます。ということは、それらの組み合わせを変えればいくらでも音色をつくることができるのです。また、感情やイメージでも音は確実に変わるものです。


私の理想は、たくさんの音色のパレットを持って、常に曲に最大限に寄り添った演奏をすることです。なので、「いい音」という定義は曲によって違って、たくさんあることになります。


まず健康的に楽器を響かせて

上記のとおり、「いい音」は一つではないということを踏まえた上で、まずは基本となる(自分にとっての0地点の)音色を掴みましょう。この基本の音色の定義は、楽器がしっかり健康的に響いているポイントと思ってください。


ではどうやってそのポイントを見つければいいでしょう。私がおススメするのは以下の方法です。


  • たくさんある音のうち、どこか必ずこの音はよく鳴るという場所があるはずです。(人によって高音だったり低音だったりします)

  • その音を、うるさいくらいしっかり鳴らします。(ffフォルティッシモのロングトーンで) 人生最高に楽器が響いている!!と思えるくらい鳴らしてみるのがコツです。

  • 楽器が最大限に響いているのを感じられたら、それを失わないように隣の音に移行します。

  • 注意深く同じ響きを継続させながら、隣へ隣へと移行して行きます。うまく響かなくなったら、また響く音に戻ってやり直します。

  • そのように練習していくと、全ての音域で楽器が鳴るようになってきます。


ちょっとうるさい練習なので、周りの迷惑にならない場所で、ぜひ試してみてくださいね。


曲に合った音色づくり

上記の練習で自分と楽器がしっかりリンクするようになってきたら、音色づくりはそれからです。

演奏する曲のこと、作曲家のことをよく調べて、どのような音で表現するべきかを考えましょう。他の楽器や歌手をイメージするのも良い方法です。


音色のパレットをたくさん持って、鮮やかな絵を描いてみてくださいね。


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