練習場所がないとき



現在、学校やスタジオが使えず、練習ができなくて困っている方がたくさんいらっしゃるようです。ご質問者さんの他にも、りんさん、けろっぴさんからも同じお悩みが届きました。


フルートは弦楽器と違って、ミュート(弱音器)がありません。それなので、音を出せる場所がないと、何もできないように感じますね。また、この先どうなるのだろうという不安も手伝って、やる気が起きない方も多いかと思います。


しかし、時間は有限です。質問者さんは音大生ということなので、とにかくできることを探しながらやっていっていただきたいと思います。


楽譜を分析したり、いろいろな人の演奏を聴いたり、本を読んだり、映画を見たりするのも上達に必要なことです。今日は、それ以外にできることを書いてみたいと思います。


音を出さずに練習する

1. 楽器を工夫する


夜間などにどうしても練習が間に合っていないとき、私はこのような器具を使って練習しています。

PNEUMO PRO ニューモ・プロ フルート練習補助用具


元々、生徒さんに息の方向を説明するのにいいかもと思って購入したものですが、プロペラを外して胴部管に挿すと、音の出ないフルートが出来上がります。


口に当てた感覚は普通のフルートと変わりません。ただ、本物の頭部管より少し軽く、持った時のバランスが気になるので、私は重りを貼り付けてバランスを調節しています。


姿勢や運指の確認もできますし、理想とする音をイメージしながら息の量、方向、スピードをしっかり意識して行えば、何もしないより遥かに効果があると思います。



2. 器具を使って息をパワーアップさせる


また、いつも書いているように、フルートを吹けないと真っ先に衰えるのが息のパワーです。これを鍛えておけば、また吹けるようになった時も比較的早く元に戻せると思います。


これに関してもおススメの器具があります。

ブレスビルダー


これは、中にピンポン玉が入っていて、チューブに息を吹き込んだり吸ったりすると球が上がるものです。球が上がりっぱなしになるように「吸う」と「吐く」を繰り返します。


吸うときも吐くときもおなかが外側に張り出すイメージをキープすると良い練習になります。また、絶対に頬っぺたを膨らまさないようにしてください。口ではなく、おなかに意識を集中させるのがコツです。


ちなみに、私はこの付属のチューブだと簡単すぎるので、細いストローをつないで、さらに負荷をかけて使っていました。また、このチューブをそのまま咥えてのトレーニングだとアパチュア(口の穴)が大きくなってしまうので、できるだけフルートのアンブシュアをイメージして使うと良いと思っています。



3. 器具を使わないで息をパワーアップさせる


「うーん、お金がかかるのは嫌だな」と思われた方に、器具を使わないで鍛えられる方法をご紹介します。


隙間時間にできるおなかのトレーニングとして以前私が編み出したのが、『カ行を力強く唱える』という方法です。唱えるといっても、かなりの強さで、子音のみを発音するようなイメージです。


文章で伝えるのが難しいので、実際の音声を載せておきますね。


どちらも、口や喉をほとんど使わずに、おなかの力のみで発音するイメージで行います。一言ずつおなかがべコベコすることのないように、おなかを外に張り続けることを意識しながら行うと、筋肉の存在を感じられるはずです。


私は、学校の行き帰りやランニング中、お風呂などで毎日やるようにしていました。(すれ違った人には変な目で見られていたかもしれませんが…)



以上のように、楽器の音を出すことなく体を保つことはできるので、ぜひ参考にしてみてください。


しかし、やはり音を出したい

ここまで、音を出さずにできるトレーニングをご紹介しましたが、やはり音を出す練習には敵いません。質問者さんは2週間おきにしか吹けないということですが、何とか工夫してみてはいかがでしょう。


Twitterでは「車の中で練習している」という方も見かけますし、「クローゼットの中で練習している」という生徒さんもいらっしゃいます。


また、質問者さんは音大生ということなので、まだこの状況が続きそうなことを考えると、思い切って防音室を購入されるのも手かもしれません。

ヤマハ・アビテックス


私は大学院生の頃、この1.5畳の防音室をマンションに入れて使っていました。狭いのですが、ドラゴンボールの『精神と時の部屋』のようで、とても良く集中できました。


狭い場所で練習する時のコツ

最後に、今は狭い場所でしか吹けないという方が多いと思いますので、私のおススメの方法をお伝えします。

↑このような、良く響きそうなホールの写真(舞台から客席を撮ったもの)をプリントアウトして、練習中の視界に入る位置に貼ってみてください。


ホールの空気感や温度感をリアルにイメージするだけで、自然とブレスも深くなり、演奏のスケールが小さくなるのを防げます。



今は大変な状況ですが、これが一生続くことはありません。きっとまた音楽に溢れた日々が戻ってくることを信じて、お互い、今できることを重ねていきましょうね。

1,183回の閲覧

© Yoshie Ueno  all rights reseived